新和実業株式会社

浸炭焼入炉(各種)


浸炭(carburizing)とは、Fe-C系の鋼部品を加熱してCを拡散浸透させることを言います。
 その方法には大きく分けて次の3種類があります。

  1. 固体浸炭法
  2. 液体浸炭窒化法
  3. ガス浸炭法

 現在、自動車部品などの生産で一般的に行われている浸炭法は、気体浸炭法です。

 ガス浸炭法とは、プロパンなどの炭化水素ガスに少なめの空気を混合し、1000℃〜1100℃に加熱したNi触媒を通して、不完全燃焼をさせてから脱水し、例えばプロパンを用いた場合はCO:H2:N2=23:31:46、メタンを用いた場合は20:40:40の浸炭性のある「吸熱ガス(RXガス)」を得られます。
 さらに強い浸炭性が必要な場合はこのガス中に適当量の炭化水素を添加(エンリッチ)します。
 浸炭性は水蒸気分圧に強く依存するため、露点の制御は重要となります。
 あるガスと平衡するFe中のC%をそのガスのカーボンポテンシャル(carbon potential)と言います。所定のカーボンポテンシャルのガスを流した浸炭炉中をベルトコンベアで品物を通し、直ちに焼き入れ、200℃付近で焼き戻して使用に供します。この方法は大量生産に適します。
 また、密閉炉中に有機液体(メタノールなど)を滴下し、バッチ型でガス浸炭を行う方法もあります。

 最近では真空浸炭法が注目されています。これは、加熱されたワークが装入されたチャンバー(加熱・浸炭室)を真空(実際には減圧状態)の状態にし、その中にアセチレンやエチレンなどの重炭化水素ガスをパルス添加し、その分解により生ずるCにより浸炭熱処理を行うものです。低真空の中にガスをパルス添加するため、「減圧浸炭」とも呼ばれます。
 この方式における最大のメリットは、細長いねじ穴のような形状のワークの中にも浸炭させることができる(C原子の移動を阻害する気体分子が存在しないために狭い隙間にもCが到達できる)ことと言われていますが、それ以外にも鋼に含まれるCr原子が非常に酸化されやすいということから、熱処理中におけるCrの酸化を防ぐという効果も期待できます。Crの酸化が無いので、当然ワークも光輝に仕上がります。
 さらに、従来のガス浸炭炉に比較して排気が少ないという点でもメリットがあり、地球温暖化効果をもたらすCO
削減にも寄与できます。

 最近のリサイクル材の有効活用という流れがある中、金属材料はその学問的な発展とは逆に、これまでよりも若干粗悪になる(リサイクルコスト等を考えると)と考えられます。こうなると粗材調質や焼鈍、浸炭焼き入れなどの熱処理に対する要求がこれまで以上に高度になることが考えられます。

(参考文献:門間改三・須藤一,「構成金属材料とその熱処理」,日本金属学会,昭和52年)


電熱式バッチ型浸炭焼入炉(小型・マッフルタイプ)

電熱式バッチ型浸炭焼入炉(小型・マッフルタイプ)
(図面をクリックすると別ウインドウに表示します)

【特徴】
  • 小型の浸炭焼入炉です
    バスケットサイズが400mm×400mm×400mm、最大処理重量が50kgのバッチ型浸炭焼入炉です。
    キャリアガスは、RXガス(吸熱型ガス変成炉−RXガス発生機)が必要です)または、N
    2+メタノール分解ガスです。メタノール分解ガスを使用する場合、メタノールを炉内に直接滴注するのではなく、ベーパライザで気化させたものを炉内に導入します。
    浸炭焼入、浸炭窒化、光輝焼入などに使用できます。

     
  • 良好な温度分布
    円筒形のマッフルのため、炉内の温度分布が良いことが特徴です。
     
  • 装入部・抽出部からは炎を出しません
    この炉は、装入ベスチブル、抽出ベスチブル、搬送部を窒素ガスで置換する構造であるため、装入部、抽出部からは炎を出さないフレームレスの構造となっています。炉内雰囲気ガスの排気部のみ、炎が出ます。
     
  • 炉内雰囲気制御には赤外線CO2分析計を使います(ジルコニアO2センサも使えます)
    炉内雰囲気の制御には、赤外線CO
    2分析計を使います。浸炭窒化の場合にはCOとCO2の2成分分析計をお勧めします。
    ジルコニアO
    2センサの使用も可能です。
     
  • オプションとしてボンベを使った炉内雰囲気ガス供給も可能です
    オプションとして、CO、CO
    2、N2、H2などの各種ガスボンベと、マスフローコントローラーを組み合わせて、炉内雰囲気ガスを自由に作り、炉内に供給するシステムもご提供できます。このシステムは、既に熱処理技術の研究・開発用として納入・使用実績があります。
     

N2ベース加圧冷却式浸炭焼入炉(1996/1999/2004年製作)

(お客様のご都合により図面および写真は掲載致しません)

【特徴】
 
 上記のバッチ型浸炭焼入炉の構造をベースに、ニードルベアリングのスラストワッシャーの焼入歪を低減し、後工程のプレステンパー無くすということを実現できた炉です。某大手ベアリングメーカーで活躍しています。
 
 この炉の最大の特徴は、N2ガスによる加圧冷却焼入を行う点にあります。そのため、薄いワークであっても歪みが少ない状態で浸炭焼入をすることができます。処理後のワークは従来の油焼き入れのように油が付着することなく、後洗浄が不要となります。さらに、従来必要とされていた「プレステンパー」工程が無くなりました。工程およびコストの大幅削減に貢献しています。また、洗浄水の処理が不要であるため、産廃の低減にも寄与しています。
 
 この炉はバッチ炉をいくつか並べた構成を採っています(装入室・加熱室・浸炭室1・浸炭室2・ガス冷室)。また油槽は装備しておりません。

 現在、ニードルベアリングのスラストワッシャーの浸炭熱処理工程の大幅なコストダウンを図るための切り札として活躍しております。

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