鏡面冷却式露点計とは/熱処理設備での露点計測とは


湿度に関する用語の定義(参考:JIS Z 8806:2001)
  乾燥空気
 空気から水蒸気を除いた残りの機体で構成され,単一成分の理想気体とみなされる気体。
 
湿潤空気

 水蒸気と乾燥空気の混合気体。
 

飽和水蒸気圧
 水または氷と,水蒸気とが共存して平衡状態にあるときの水蒸気の圧力。
 -100℃〜100℃の飽和水蒸気圧は,SONNTAGの式によって与えられる。
 
【SONNTAGの式】
 水の飽和水蒸気圧(Pa)=exp(−6096.9385T-1+21.2409642−0.02711193T+0.00001673952T2+2.433502 ln(T))
 
 氷の飽和水蒸気圧(Pa)=exp(−6024.5282T-1+29.32707−0.010613868T+0.000013198825T2+0.49382577 ln(T))
 
    Tは露点温度または霜点温度(絶対温度・単位:K)

 
露点
 湿潤空気中の水蒸気圧に,水の飽和水蒸気圧が等しくなる温度。
 (湿潤空気中の水蒸気が1気圧の環境で結露する温度と理解しても間違いでは無い。)
 
過冷却露点
 湿潤空気中の水蒸気が,0℃以下であっても霜とはならず,過冷却状態の水として結露する場合の温度。
 鏡面冷却式露点計を使った露点計測の場合,-40℃〜-30℃の鏡面温度であっても鏡面には水蒸気が水として結露する場合がある。
 このとき計測される温度が過冷却露点。この状態の飽和水蒸気圧を計算する場合,SONNTAGの式の水の飽和水蒸気圧の計算式を利用する。過冷却露点と霜点を鏡面冷却式露点計の光学センサで区別することは難しい(スイス・MBW製など一部の鏡面冷却式露点計では特許技術により露点と霜点の切り分けが可能)。
 なお、高分子薄膜を使ったセンサ式露点変換器の場合,0℃以下の計測値は,スイス・MBW製の鏡面冷却式露点計で計測された霜点に対して値付けをしているケースが多い。
 
霜点
 湿潤空気中の水蒸気圧に,氷の飽和水蒸気圧が等しくなる温度。
 (湿潤空気中の水蒸気が1気圧の環境で水蒸気から直接,霜を形成する温度と理解しても間違いでは無い。)
 
相対湿度
 湿潤空気の水のモル分率と,その温度及び圧力で飽和している湿潤空気の水のモル分率との比の100倍。
 実用上は,湿潤空気の水蒸気圧と,その温度における飽和水蒸気圧との比の100倍。
 単位の%は,相対湿度であることを明確にするために,%rhと書いても良い。

鏡面冷却式露点計(光学式露点計)とは(参考:JIS Z 8806:2001)
  原理
 結露面の温度を露点以下に下げると,露(霜)が付着し始め、露点以上に上げると,付着していた露(霜)は蒸発しはじめる。鏡面上の露(霜)の付着量の増減を鏡面からの反射光で検出し,この付着量が一定になるように結露面の温度を自動制御し,鏡面温度を制御する。それを露点(霜点)とする。
 
構成
 結露面の冷却には,ペルチェ素子(半導体素子)のペルチェ効果(ゼーベック効果の逆現象・フランスの時計師J.Peltierが1834年に発見)を利用した電子冷却器,小型のスターリング冷凍機などを用いる。また,ペルチェ素子とスターリング冷凍機を併用する場合もある。ペルチェ素子による電子冷却器のみを使う場合,ペルチェ素子の放熱面を水冷することで低露点側の測定範囲を広げることのできる鏡面冷却式露点計もある(神栄テクノロジー株式会社製 S-2など)。
 露(霜)の付着の検出方法として,結露面からの反射又は散乱光量(フォトトランジスタなどで計測)を利用する。
 
不確かさ
 不確かさは0.1℃〜2.0℃であるが、次の要因も影響する。
 −測定空気の温度
 −測定空気の流量
 −配管などによる圧力損失
 −鏡面と温度センサ(結露する温度を検出するための白金測温体)との温度差
 −鏡面(結露面)の汚染
 −鏡面上の露(霜)の非平衡状態

鏡面冷却式露点計を使った露点計測に当たっての注意事項
  被測定気体中の汚染物質
 
鏡面に塩類,ちり(塵),ほこり(埃),オイルミストなどの不純物が付着すると,実際よりも高い温度の露点を示すため,水分を吸着しにくいステンレス鋼もしくはフッ素樹脂又はグラスウール製のフィルタを使用して測定空気から不純物を除去し,鏡面を常に正常にしておかなければならない。
 -40℃以下の低露点を計測する場合,フィルタはステンレス鋼のメッシュまたは焼結エレメントの選択が必要となる。さらにフィルタのハウジングもステンレス鋼製にする必要がある。ポリカーボネート製のハウジングは低露点計測では使用できない(ハウジングのシール部には可能であればメタルガスケットを使用する)。
 
鏡面の清掃に使用する綿棒
 鏡面の清掃には、一般に綿棒が使われる。
この綿棒は正常な脱脂綿の綿棒(薬局等で販売されている医療用としても使えるもの)でなければならない。市販の安価な綿棒には化粧水が含まれている場合が多く,これを使用すると,綿に含まれる化粧水が鏡面とその周囲を汚染するため、正確な露点計測はできなくなる。
 一度使用した綿棒は,再利用することはできない(鏡面とその周囲の汚染,鏡面への傷の発生につながる)。従って,使用後は直ちに廃棄すること。
 
鏡面の汚れがひどい場合
 鏡面の汚れがひどい場合には、綿棒に精製水(蒸留水),エタノール(精製水で希釈したものでも可),イソプロピルアルコール(IPA)などをしみこませた上で丁寧に拭き取ってもよい。
 なお,拭き取り後,さらに乾いた新しい綿棒で鏡面に残った目に見えにくい残渣を拭き取らなければならない。
 
ガスサンプル配管
 露点計へのガスサンプル配管は,できるだけ水蒸気の吸脱着の少ないステンレス鋼又はフッ素樹脂の配管を用い,しかもできるだけ短く配管する。
 ただし,-60℃前後までの露点計測においては,フッ素樹脂の配管は使用できるが,それ以下の領域における露点計測にはステンレス鋼の配管を使用しなければならない。-80℃以下の領域の露点計測では,配管は内部を電解研磨したステンレス鋼のチューブとし,できるだけ継手も使用しない(溶接配管が望ましい)。継手の使用が不可避な場合は,溶接継手やVCR継手(メタル・ガスケット式面シール継手)を使用する。
 
配管系統における流量計とガスサンプルポンプの位置と注意事項
 配管系統における流量計位置は,鏡面冷却式の次位とする。流量計は面積式流量計で良いが,流量計に流量制御用のニードルバルブを取り付けたものを使用する場合には,ニードルバルブは流量計の出口側(上側)に取り付ける。面積式流量計の常用流量は,0.3L/min〜1.0L/minとなる。ただし,ガスサンプル配管内部に残留した水分を除去するため、1.5L/min以上の比較的乾燥した空気や窒素ガスを流す場合があるため,それにも配慮した選定が必要である。
 ガスサンプルポンプはダイヤフラム式を用い,その取付位置は流量計の次位とする。ガスサンプルポンプは,最大流量が5.0L/min程度のものが望ましい。ガスサンプルポンプを流通したガスは,速やかに排気する。
 なお,ガス中に可燃性ガスが含まれる場合は、排気部分にフレームアレスタを取り付け,外部からのガスサンプル配管への炎の侵入を阻止する。
 
露点センサの鏡面近傍のガス圧力とガス流量
 露点センサの鏡面近傍のガス圧力は,およそ1atm(101.3kPa),ガス流量は0.3L/min〜1.0L/min(露点計測範囲により変化)となるように配管系との設計を行うとともに,ニードルバルブ付き流量計の調整をする。
 鏡面近傍のガス圧力が1atmから外れると正確な露点計測とはならない(鏡面近傍の飽和水蒸気圧が、ガス圧力に依存するため)。
 鏡面近傍のガスの圧力がおよそ1atm前後になる場合,多少の圧力変動は露点計測に対して大きな影響は無いとして無視できる場合が多いが,厳密な露点計測が必要な場合や圧力が1atmから極端に異なる場合は、圧力センサを併用した上で、鏡面近傍の絶対湿度の計測を行うこととなる(露点と圧力から露点計が持つ演算機能を利用し,計算で絶対湿度を求める)。
 
過冷却露点と霜点
 -30℃〜0℃の領域では、鏡面に霜が形成されず,過冷却の状態になることが極めて多い。特に鏡面を清浄にした場合は,過冷却になりやすく,-40℃まで過冷却であった例も報告されている。過冷却水と氷では,飽和水蒸気圧が異なるので,どちらが鏡面に形成されているかを常に確認する必要がある。
 近年,露点と霜点を切り分ける機能を持つ海外製の鏡面冷却式露点計(スイス・MBW製など)も販売されている。露点計測の基準器として使われているケースが多い。しかし現場計器として工業炉の雰囲気の露点計測には適していない。
 鏡面冷却式露点計ではなく,波長可変ダイオードレーザー吸収分光式(TDLAS)露点水分計を使うことで,0℃以下は霜点を出力できるので,-30℃〜0℃の領域の高精度の水分量計測を行う場合はTDLAS露点水分計を選択することを検討するとよい。
 
高露点測定
 室温より高い露点を測定しようとする場合は,鏡面以外の箇所で結露しないように配管及びセンサ部を保温する必要がある。保温の温度は機器の損傷(ペルチェ素子の劣化)に注意して設定する。
 
低露点測定
 低露点測定の場合,水蒸気圧が非常に低いので,配管での漏れ及び配管の材料には特に注意が必要である。配管の材料は,水分が吸着しにくい,内部を研磨(鏡面仕上げ)したステンレス鋼製を使用するのがよい。また,低露点では霜の成長速度が遅くなるので,特に-40℃の露点計測では十分に時間をかける必要がある。なお、低露点での高速応答性が求められる場合は,鏡面冷却式露点計ではなく,TDLAS露点水分計を選択した方が良い場合がある。

熱処理設備での露点計測とは?
   一般的に、雰囲気ガス熱処理炉の場合,古くから露点計測が行われている。
 雰囲気ガス熱処理炉の炉内雰囲気の圧力は一般に大気圧に対して10〜300Pa(約1〜30mmH2O)程度圧力が高い場合が多い。この程度の大気圧との圧力差の場合,基本的には大気圧との差を意識せずにそのまま露点の計測をすることができる。
 炉内雰囲気の圧力によっては炉内の雰囲気ガスをサンプルポンプで吸引する必要も出てくる(この場合、露点センサに対するサンプルポンプの位置が重要になる)。

 雰囲気ガス熱処理炉のような熱処理設備の場合,炉内雰囲気が大気や窒素であるとは限らない。
 例えば,水素、アンモニア、メタノール分解ガス、RXガス、DXガスなど様々です。また、計測するガス中には粉塵が含まれる可能性がある。、ガス浸炭炉であればカーボンの粉(スス)が多く含まれる。このようなガス中の水蒸気が結露する温度を正確に計測するには,適切なフィルタを利用した上で,鏡面冷却式露点計を使うことが最も適している。
 鏡面冷却式露点計は文字通り,冷却した鏡面に生じた露(または霜)を光学的に検出する。そのときの鏡面の温度を計測し,露点として出力する。これは露点の定義の通りの検出方法で,「一次検出原理」と言う。
 一方、センサ式露点計は酸化アルミニウムや高分子膜の薄膜の抵抗やインピーダンスの変化を露点に換算している。つまり,センサ式露点計では露点の定義とは異なり,得られた抵抗やインピーダンスの値をマイコンを使って露点に換算するしている。これを「二次検出原理」と呼ぶ。
 センサ式露点計の場合、センサ部分が炉内雰囲気ガスの成分や粉塵により劣化するため,センサの耐久性も鏡面冷却式に比較すると大きく劣る。そのため、一般的にはセンサ式露点計は元々、雰囲気ガス熱処理炉の雰囲気計測には不向きと言える。

 
ガス浸炭炉では,熱処理を行う温度において雰囲気ガス中に水性ガス反応が生じる。この反応で生ずるH2Oの分圧を鏡面冷却式露点計で得られた露点からSONNTAGの式により求めることで、炉内雰囲気のカーボンポテンシャルの計算もできる。また,鏡面冷却式露点計を使って露点計測を行い,ジルコニアOセンサを利用したCP計や赤外線CO分析計のバックアップとして活用するケースもある。
 
 金属工学の古い教科書の内,特にガス浸炭について記述したものにおいて,以下の図が示されていることがある。この図は,炉内の雰囲気温度と雰囲気ガス(キャリアガスつぃてRXガスを用い,天然ガス(アメリカ国内で採られたデータのため,メタンのほかプロパンやブタンなどが混合したガス)をエンリッチ添加した雰囲気ガスの露点と炉内の鋼の表面炭素量との関係を示したものである。炉内の雰囲気ガスの反応に,水性ガス反応が存在するため,炉内雰囲気ガスの露点を計測することで鋼の表面炭素量を知ることができるということは、1940年代にはガス浸炭が普及していたアメリカでは既に知られていた。また、赤外線CO2分析計やkジルコニア酸素センサが無かった時代,露点計測が唯一の定量的な雰囲気制御のための手段であった。しかし,この図では露点カップ(DEWカップ)を用いて露点を計測したため,現代の鏡面冷却式露点計を使った露点計測よりも,0.5℃〜1℃程度露点が低く計測されている(人が鏡面の曇りを目で認識してから,温度計の指示値を読むまでのタイムラグがあり,その間にも露点カップの温度が下がるため。最大で2℃程度の不確かさがあった)。
 古くからガス浸炭には露点計測が活用されてきまた。現在でも、ジルコニア酸素センサの指示値確認や赤外線CO
2分析計の指示値確認の目的で露点計測を活用しているお客様があり,それらの機器に対してもより確実な方法として認識されている。

 
 メッシュベルト型連続焼結炉やトレイプッシャ型連続焼結炉などの雰囲気ガス焼結炉では特に冷却帯における雰囲気ガスの露点管理が重要になる。
 通常,雰囲気はN
2+H2とするケースが多くある,製品やトレイなどが炉内に若干の酸素を炉内に持ち込むため,炉内雰囲気の露点管理は必須となる。
 炉内雰囲気の露点を計測することで、炉内のH
2O分圧を求めることができる(炉内のガス圧力をほぼ101.3kPaとして考える)。このH2O分圧が求まると、炉内に導入しているH2が流量計を使って炉内に導入していることから,その分圧が既知の値として扱うことで、炉内のH2分圧とH2O分圧との比が求めらる。炉内の雰囲気の温度も計測することで既知の値となるので,これらの数値からこの炉内雰囲気の酸素分圧が計算により求めらる。
 一方,Feまたはステンレス系の焼結であればCrが冷却帯において酸化しないことが求められますため,それらが酸化するときの酸素分圧は,FeやCrの酸化物標準生成自由エネルギーを与える式から求めることができる【詳細はこちら】。その求めた酸素分圧から,炉内雰囲気の露点がが少なくとも何℃まで下がっている必要があるかが分かる。求められた酸素分圧の比較をすることで,冷却帯において雰囲気の露点が何℃以下でなければならないかが判断できる。また,炉内へのH
2の導入量を増やす必要があるかどうかを判断することができる。
 つまり,
雰囲気ガス焼結炉の雰囲気管理には、露点計測が必須ということになる。
 ここで,露点計測に使う露点計は,可能であれば低露点タイプの鏡面冷却式露点計を選択する方が良い。高分子薄膜静電容量式露点変換器を使うことも出来るが,水素を含む雰囲気中で連続使用した場合,約1年でセンサ部の交換が必要となる。どうしてもドリフトの発生が避けられず,精度も大きく落ちるためで,センサの使用開始から1年を超えての継続しての使用はできない。これに対し,鏡面冷却式露点計は原理的にもドリフトが生じないため,安心して使うことができる。ただし,連続使用は使用している電子冷却式ガスクーラー(ペルチェ素子)の寿命を短くし、さらに連続使用により鏡面の汚れも生じるため,製造現場での使い方,管理方法には工夫が必要となる。

 
 
アンモニアを含むガスの露点計測(特にガス窒化炉の露点計測について)
 鏡面冷却式露点計は,鏡面の周囲の気体の圧力が101325Paである場合,その気体に含まれる沸点の高い成分(例えば,水)の蒸気圧が101325Paになる温度を検出している。
 このとき,鏡面の周囲の気体の圧力と,その気体に含まれる水のような沸点の高い物質の蒸気圧が一致する温度になると,その成分の蒸気は鏡面上で飽和し,鏡面上に結露を生ずる。
 
NHの101325Pa(=1atm)における物性と鏡面冷却式露点計の挙動
 NH
の沸点 :  -33.34℃
 沸点における蒸気圧 101325Pa
 
 NH
は,NHのみの状態で,-33.34℃においてその蒸気圧は101325Paである。
 一方,H
Oは,HOのみの状態で,100℃においてその蒸気圧が101325Paである。
 この蒸気圧が101325Paの環境において101325Paになる温度がその物質の沸点である。
 
 ここで,100%のNH
を鏡面冷却式露点計を使い,鏡面に何℃で結露が生ずるかを考える。このとき,鏡面冷却式露点計の周囲温度とNHガスの温度は仮に25℃であるとする。
 NH
が100%の状態の条件(高純度アンモニアの場合)において,鏡面冷却式露点計の鏡面上に汚染物質が全く存在しない条件で,鏡面の温度が-33.34℃になると,鏡面上のNHの蒸気圧は101325Paとなる。
  (参考:昭和電工株式会社 高純度アンモニア 製品情報 にある一番下のグラフを参照
 この-33.34℃はNH
の露点ではなく,沸点である。
 
 ここで,100%のNH
に対してHOが混合すると鏡面冷却式露点計で計測する値が-33.34℃から上昇する。
 このとき,NH3の濃度が下がり,その鏡面上での蒸気圧が下がる。鏡面冷却式露点計は,鏡面上の蒸気圧を上げる方向に温度を制御する(鏡面の温度を上げる)ため,鏡面冷却式露点計が表示する温度は-33.34℃から上昇する。
 
 鏡面上に結露しているものは,NH
のほか,NHとHOが極性引力で結びついたもの(以下,便宜上NH・HOとする)である。NHとHOは,共に極性を持った分子であるため,結びつきやすい性質があるが,結びついた時にNHOHという化合物が作られるわけではないことが近年の研究により明らかになっている。
 
 鏡面冷却式露点計においては,その使用環境において,H
Oよりも蒸気圧の高いガスの露点は計測できない。実際にはHOとの混合気体の沸点を計測している。同様のことNHのほか,代替フロンなどにおいても生ずる。
 
 NH
とHOが混在する気体を鏡面冷却式露点計により計測すると,その気体に含まれるNHとNH・HOの混合物の沸点が計測されるが,この値は工業炉,特にガス窒化炉の雰囲気ガスの管理に古くから用いられてきている。この値が一定の値よりも高い場合に,窒化が入らなくなると言うことは,経験的に知られている。
 従って,
窒化炉のプロセスの管理に鏡面冷却式露点計を利用することは可能であり,また大いに有効と言える。しかし,何が原因で雰囲気の露点が高くなっているのかは分かりにくい。
 鏡面冷却式露点計を使った場合,正しい意味での露点計測にはなっていないことだけは理解しておく必要がある。

 
より正確なガス窒化炉の露点計測のために−TDLAS露点水分計の利用
 そもそも窒化炉に供給されるNH
にはHOはほとんど含まれていないはずである(通常,水分はppbオーダーに抑えられている)。そのことから,鏡面冷却式露点計では,窒化炉の露点(実際にはNHを含むガスの沸点)が何の影響で上昇したのかを掴みづらい。
 
 先に述べたように,ガス窒化炉の中に存在するH
Oは,NH・HOという形で存在する。
 H
O自体は形を変えてほかの物質になっているわけではなく,NH3と極性引力により結びついているだけである。そのため,蒸気圧に依存しない気体に含まれる水分量の計測方法を用いれば,気体に含まれる水分量を正確に計測できる。
 
 ここで注目すべきは,2017年に神栄テクノロジー株式会社から製品化されたTDLAS露点水分計である。Lambert-Beerの法則に基づいた測定原理による可変波長ダイオードレーザーの吸光光度分析計である。
 2原子以上で結合した分子は、赤外〜近赤外領域で伸縮や回転等のモードに由来する固有の周波数で吸収現象を起こす。水分子が持つ固有振動数が吸収する波長域において、入射光の強度I0と透過光の強度Iとの比の対数が吸収物質の厚さLに比例すること、光の吸収係数が濃度Cに依存することから、これを水分量として測定し、露点値を導いている(詳細は神栄テクノロジー株式会社ホームページへ)


 ガス窒化炉の雰囲気ガス中にはOが存在するため,TDLAS露点水分計は使用可能で,既に窒化炉以外の用途において,NHを含むガスの露点計測には活用されていて納入実績もある。NHを含む気体の露点の測定精度(再現性)は±0.5℃DP以内と考えられる。
 
 TDLAS露点水分計のガス窒化炉での露点計測の実績は,テスト的に行われた程度であるが,神栄テクノロジー株式会社製のTDLAS T−1により妥当性のある露点の値が計測できている。
 今後,さらなるTDLAS露点水分計によるガス窒化炉の雰囲気の露点計測の実績を積んだ上で,お客様にご提供したい。
 
ご参考:ガス窒化炉(特にN
+NH)の雰囲気ガスの露点を下げるための工夫
 ガス窒化炉に供給されるN
は,液体窒素のストレージ(タンク)から供給されるケースが多い。このストレージに液体窒素を供給するのは,通常はタンクローリーを使って行われる。

 タンクローリーからストレージに液体窒素を移し替える際,ホースなどを使って行われるが,このとき,継手部分のごく僅かなデッドゾーンがあり,そこに空気が入る。その空気中に含まれる水蒸気が液体窒素から供給される窒素ガスの露点を上昇させる。
 この水蒸気は,液体窒素のストレージの中では,細かな氷として浮遊している。
 この浮遊している氷を,液体窒素をベーパライザに送る途中で,
ストレーナにより除去することにより,かなりの量を除去できる。
 ストレーナを使わない場合,ガスとして供給されるN
の露点は,最悪,-40℃に達しないケースもある。これに対し,スレーナを利用して氷を除去することで,-90℃の露点を得ているケースもある(この場合の露点計測はMBW製鏡面冷却式露点計373LXを使用)。
 ストレーナのメッシュの選定については,液体窒素を供給しているガス会社との検討が必要である。
 
 ガス窒化炉に供給しているN
ガスの露点は,-50℃以下,あるいはそれよりも下がっていることが必要と考えられるが,もしも窒化炉の雰囲気の露点が下がらないことが窒化が入らないトラブルの原因と考えられる場合は,まずは,炉に供給しているNガスの露点の露点を計測し,それが十分に下がっていない場合には,液体窒素に浮遊している氷をストレーナを使って除去することを検討することは必要かと考えられる。
 

本ホームページに記載されている内容は予告なく変更することがありますのでご了承下さい。

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